障害者差別解消法の茨城県内市町村教育委員会が作成する対応要領に関するアンケート調査結果

調査 茨城に障害のある人の権利条例をつくる会

アンケート調査の目的


・平成28年4月1日から障害者差別解消法が施行された。そこで、茨城県内の市町村教育委員会の対応要領の作成の状況の確認するために実施した。
・対応要領作成の段階で、障害者の意見を取り入れたのかを確認する。
・障害のある児童・生徒への合理的配慮の内容を確認する。

調査の概要


・茨城県内の全市町村教育委員会に対して、障害者差別解消法の対応要領作成の状況を尋ねた。
・2016年1月末に全市町村教育委員会に郵送でアンケート調査を発送し(2016年2月29日締め切り)、42市町村から回答を得た。

・質問項目の選定
全国障害学生支援センター「障害者差別解消法 公立学校における職員対応要領整備状況調査」から質問を選定し、独自に設問を編集。

※アンケートについてはこちら(ワード形式)をご覧ください。

アンケート結果

A−1.対応要領を作成しますか。(回答42件)
作成結果 作成する14市町村 作成しない14市町村 検討中、未定14市町村
作成しないと回答したのは、全体の33%の14市町村ある。

B−1. 対応要領は、どこの部署が主体となって作成しますか。(回答18件) 首長6市町村 教育委員会6市町村 検討中、未定4市町村 教育委員会と障害福祉課1市町村 首長部局と協議中1市町村

B−2.対応要領を作成する場合、いつごろまでに作成しますか。(回答19件) 作成日 2016年4月末3市町村 2016年12月末1 2017年3月末 5市町村 検討中、未定 10市町村

B−3. 対応要領作成に際し、意見聴取の機会を設けますか。または、設けましたか。(回答17件) 意見聴取の機会を設けるか? 障害者その他の関係者を構成員に含む会議の開催3市町村 障害者団体からのヒアリング5市町村 障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置1市町村 機会を設ける予定はない1市町村 検討中、未定5市町村 

B−4.作成した対応要領は、市民向けに公開いたしますか。(回答18件) 市民向けに公開するか? 公開する11市町村 公開しない0市町村 検討中、未定7市町村

B−5. 上の問いで、公開すると回答した自治体に質問いたします。
どのような形で公開いたしますか。(回答15件)
公開の方法 インターネット10市町村 検討中、未定5市町村

C.解消法第14条の相談、紛争の防止及び解決の整備について質問します。

C−1. 相談窓口は設置しますか。(回答20件)
相談窓口は設置するか?設置する10市町村 設置しない1市町村 検討中、未定9市町村

C−2. C−1.で設置すると回答した方に質問します。相談窓口は新設されますか。  また、既存の相談窓口を使用する場合には、どの相談窓口を使用しますか。(回答15件) 相談窓口を新設するか、既存の窓口を使用するか?新設する1市町村 既存の窓口を使う3市町村 その他4市町村 検討中、未定7市町村

その他 4市町村
内訳(教育相談及びスクールソーシャルワーカー所管課、教育委員会教育学務課、教育委員会指導室、障害福祉課)

D. 対応要領には、合理的配慮についてどのような内容を盛り込む予定ですか? 項目ごとに具体的な事例等をお書きください。

●五霞町教育委員会
通常学級 
・主として物理的環境への配慮
 放送の音量、視覚的に受容できる設備、スロープ、手すり、送迎用駐車場
・主として人的支援の配慮
 サポートできる職員の配置。支援(相談)体制の確立
・その他の配慮
 タブレット等の活用
支援級
・主として物理的環境への配慮
 車イス等利用可能 臨時休憩スペース設置 トイレへのアクセス
・主として人的支援の配慮
 介助員の配置
・その他の配慮
 点字や手話のコミュニケーション手段の充実 変更の少ない生活リズム

 

●潮来市教育委員会
通常学級、支援学級を問わず、移動や日常生活の介助及び学習面を支援する人材の配置

●稲敷市教育委員会
通常学級
・高機能自閉症やアスペルガー症候群などの子どもに対して,構造化された授業計画や板書を行う。また具体例を導入し,イメージを持ちやすくする。
・担任は,丁寧な口調で授業を進め対象児の誤った発表内容に関しても,内容の意向をくみ取りながら適切に誘導し,自尊感情を低下させない配慮を行う。
・病弱の子どもに生まれて健康状態により学校を休みがちになり学習に遅れが生じがちな場合,教員免許を持った支援員が支援を行う。など
支援級
・個々にペースに応じた課題の提示と授業構成。
・クールダウンのスペースを用意し,パニック・ストレスが溜まったときはそこで気持ちを落ち着かせる。
・様々な子どもの状況に応じて,自立と安全のために特別支援教育支援員を配置する。
・見通しが持てなく不安を感じたり,パニックになってしまう子どもにはその子どもに応じたスケジュールを作成する。

●茨城町教育委員会
通常学級
・補聴器を使用している子どもに、ノイズを減らす対策として机や椅子にフェルトを貼る。
・視覚障害の子どもに、支援員を付けるよう安全を図る。
・視覚障害の子どもに、視覚を確保するため角度調整できる机にする。
・ICTを使用し補助教材を活用する。
支援学級
・時間の見とおしを持たせ、活動内容を明確にする。
・ユニバーサルデザインを使用し混乱しないような対策をとる。
・理解を促すためICTを活用する。
・パーテーションを使用し落ち着いて学習できるようにする。

●阿見町教育委員会
・個別の指導計画や個別の支援計画に具体的に記述する。
・保護者とももちろん協議、合意する。
・特別支援担当者、管理職に対して研修、指導していく。
・研修会で講師(特別支援学校)をまねき合理的配慮の決定、実行について理解を深める。


●龍ケ崎市教育委員会
通常学級での配慮内容 ・ユニバーサルデザインを意識した授業づくりも市学校教育指導に掲げ、焦点化、視覚化、共有化を重点的に進めている。
・ICTの活用、個に応じた課題、ワークシートの作成
・環境づくり(ユニバーサルの視点)
支援級での配慮内容
・支援員の配置
・学期1回の支援会議の実施
・個別の支援・指導計画の定期的な見直しと改善
・交流学級との積極的連携

※市町村ごとの回答についてはこちら(エクセル形式)をご覧ください。

茨城県教育委員会作成の対応要領ついてはこちら(県教育委員会サイト)をご覧ください。

<まとめ>
・全体的にみると、障害者差別解消法の対応要領の作成について、市町村教育委員会では、まだ、準備ができていないようである。
・作成に当たっては、障害当事者、障害のある児童生徒やその保護者の意見を入れたものにしてほしい。
・対応要領の中には、合理的配慮の具体例も掲載し、障害のある児童生徒が学校生活の中で困らないようにしてほしい。
・教員にも、障害者差別解消法の研修を受けさせ、教育委員会が作成した対応要領を周知、理解させてほしい。
・私たちは、学校での差別事例(好事例を含む)等を集め、障害のある児童生徒がより学びやすい環境で学習できるように、学習会等を企画したい。

このサイトは、JavaScriptを使用して、文字の大小を表示しています。文字の大小が動かない場合は、JavaScriptを有効にして、ご利用ください。